こんにちは。北海道・洞爺湖で一棟貸しの宿11施設を運営している「かものや」です。洞爺湖といえば、ホテルや土産店がにぎわう南岸の温泉街を思い浮かべる方が多いかもしれません。けれど湖の魅力は、その対岸にもたっぷりと隠れています。この記事でご案内するのは、温泉街から湖をはさんだ西岸から北岸(月浦・洞爺町地区)。ワイン用ブドウ畑が広がる丘の集落、湖畔の直売所や美術館、朱塗りの浮見堂、そして湖を一周する彫刻の道——観光地の喧騒から少し離れて、静かに湖と向き合いたい旅にぴったりのエリアです。地元で宿を営む私たちの目線で、その回り方をご紹介します。

※この記事の営業時間・開館期間・料金・アクセスは変動します。とくに冬期は休館・休業となる施設が多いため、お出かけ前に必ず各施設の公式サイトで最新情報をご確認ください(2026年7月時点の情報をもとにしています)。

温泉街の「対岸」、西岸・北岸はどんなエリア?

洞爺湖は一周約40km・車で約1時間ほどの、ちょうどよいサイズの湖です。にぎやかな洞爺湖温泉街は湖の南岸に位置し、対して今回ご紹介する西岸〜北岸は、湖をはさんだ反対側。月浦(つきうら)の丘から北の洞爺町(とうやまち)地区へと続くこのエリアは、田園と森、そして静かな湖畔が広がる、いわば洞爺湖の「暮らしの顔」が見える一帯です。

大きな観光施設は多くありませんが、そのぶん湖と自然にゆっくり向き合えるのが魅力。ワインの里として知られる丘の集落、地元の恵みが集まる湖畔の直売所、アイヌ出身の彫刻家の作品を集めた美術館、水面に浮かぶような朱塗りのお堂——ひとつひとつは小さくても、車でつなげば半日〜1日の心地よいドライブコースになります。湖を一周する基本ルートは洞爺湖 湖畔ドライブガイドでも詳しくご紹介していますので、あわせてご覧ください。

月浦エリア|湖を見下ろす丘とワインの里

月浦の湖畔から霧の中島を望む
月浦展望台近くの湖畔から望む洞爺湖と中島(写真: lienyuan lee / CC BY 3.0 / Wikimedia Commons)

温泉街から湖の西側へ車を走らせると、ゆるやかな丘の上に広がるのが月浦(つきうら)地区です。有珠山と洞爺湖を一望できる高台に、ブドウ畑やキャンプ場が点在する、のどかな集落。標高がある分、湖を少し見下ろす角度からの眺めが楽しめるのが、湖岸を走るのとはまた違った魅力です。

月浦ワイン(月浦ワイナリー)

月浦の名を全国区にしているのが、この丘で育つブドウから生まれる月浦ワインです。有珠山・洞爺湖を望む自社農園のブドウのみで醸される白ワインは、国産ワインコンクールでの受賞歴もある本格派。生産量が限られるため通年での安定した販売は難しく、時期によって入荷状況が変わる貴重なワインです。ドライブの途中で立ち寄る際は、丘に広がるブドウ畑越しの洞爺湖の眺めを楽しむ散策がおすすめ。直営店での購入や見学の可否・営業時間は時期により異なりますので、訪問前に月浦ワインの公式サイトでご確認ください。宿に戻ってから地元ワインを味わいたい方は、温泉街や周辺の酒販店で扱いを探してみるのも一案です。

丘の上のオートキャンプ場

月浦地区は、洞爺湖畔でも人気のキャンプエリアです。湖畔に広がるグリーンステイ洞爺湖(洞爺湖町月浦)は、100サイト規模の本格的なオートキャンプ場。例年4月下旬〜10月下旬ごろの開設で、期間中は湖を間近に感じながら過ごせます。同じ月浦の高台には、パノラマの眺めが魅力の洞爺月の光キャンプ場もあり、こちらは無料サイトやオートサイトを備えた小ぢんまりとした雰囲気。いずれも冬期(おおむね11月〜4月)は休業となりますので、利用期間・予約方法は各キャンプ場の公式情報でご確認ください。キャンプ泊は難しいけれど自然の中で自炊を楽しみたい、という方には、キッチン付きの貸切宿を拠点にする過ごし方もおすすめです。

洞爺町(北岸)の湖畔スポット

洞爺湖北岸から望む中島
洞爺湖北岸から望む中島(写真: T DMY / CC BY 3.0 / Wikimedia Commons)

月浦からさらに北へ、湖の北岸に位置するのが洞爺町(とうやまち)地区です。国道230号沿いに、湖畔の直売所や美術館、公園が点在し、西岸ドライブのハイライトが集まる一帯です。

とうや水の駅

とうや水の駅のあたり(Googleストリートビュー)
とうや水の駅の周辺(画像: Googleストリートビュー)

洞爺町地区の湖畔、まさにレイクサイドに建つのがとうや水の駅です。館内には、洞爺産の野菜や豆、加工品がずらりと並ぶ売店と、洞爺の歴史や自然が学べる情報コーナーがあり、地元の恵みと物語がぎゅっと詰まったアンテナショップになっています。目の前は洞爺湖という開放的なロケーションで、ドライブの休憩に立ち寄りたいスポット。キッチン付きの宿で自炊を楽しむなら、ここで採れたての洞爺野菜を仕入れて、そのまま夕食の食材にするのもおすすめです(例年通年営業ですが、営業時間・品ぞろえは時期により変わるため公式情報をご確認ください)。地元食材の楽しみ方は洞爺湖グルメ・食材ガイドもあわせてどうぞ。

洞爺湖芸術館(砂澤ビッキの作品に出会う)

洞爺湖芸術館周辺の湖畔(Googleストリートビュー)
洞爺湖芸術館周辺の湖畔公園(画像: Googleストリートビュー)

とうや水の駅のほど近くにあるのが、洞爺湖畔の小さな美術館洞爺湖芸術館です。旭川ゆかりのアイヌ出身の彫刻家砂澤ビッキ(すなざわ びっき)の作品をはじめ、かつて洞爺村で開かれた国際彫刻ビエンナーレの小型彫刻、写真家・並河萬里が捉えた洞爺湖の写真、大正・昭和の文学作品などを展示しています。木や自然と対話するようなビッキの彫刻は、湖畔の静けさとよく響き合い、旅の途中でふと立ち止まって「文化の時間」を過ごすのにぴったりの場所です。

開館期間は例年4月1日〜11月30日で、12月〜3月は休館。開館時間は9:30〜17:00(入館は16:30まで)、休館日は毎週月曜(月曜が祝日の場合は翌日)です。入館料は一般300円・高校生200円・小中学生100円で、洞爺湖町民は無料。雨の日の過ごし方としても頼れる屋内スポットです(料金・時間は変わる場合があるため公式サイトでご確認ください)。

浮見堂公園

浮見堂公園の朱塗りのお堂と洞爺湖
浮見堂公園の朱塗りのお堂と洞爺湖(写真: 我路・幌内画像倉庫 / CC BY-SA 3.0 / Wikimedia Commons)

湖の北西岸、湖面に突き出た岬に建つ朱塗りのお堂が印象的な浮見堂公園(うきみどうこうえん)。二層の塔には聖徳太子像が祀られています。この像は大正時代の初め、旅の僧によってかつての洞爺村にもたらされたと伝えられ、これを祀るお堂が1937年(昭和12年)に建立されました。2003年に落雷で焼失した後、地元の人々の寄付によって再建された、地域に大切にされてきたお堂です。洞爺湖八景のひとつにも数えられ、水辺の散策路からの眺めは静かで清々しいもの。5月にはエゾヤマザクラやソメイヨシノなどが咲く桜の名所でもあり、夜間のライトアップは幻想的な表情を見せてくれます。7月下旬には洞爺湖夏まつりに合わせて「聖徳太子祭」も開かれます。入園無料、約50台分の無料駐車場があります。

とうや湖ぐるっと彫刻公園|湖畔58基のアート散歩

西岸・北岸を巡っていると、湖畔のあちこちで彫刻作品に出会います。これはとうや湖ぐるっと彫刻公園という、洞爺湖町と壮瞥町が共同で整備した「屋外美術館」。「生(いのち)の讃歌」をテーマに、国内外56人の彫刻家による58基の作品が、湖畔をぐるりと一周する約43kmの道沿いに設置されています。

素材はブロンズ・大理石・御影石・ステンレスとさまざまで、具象的なものから抽象的なものまで表現も多彩。緑や湖を背景に、季節や天気、光の向きによって作品の表情が刻々と変わるのが、屋外ならではの面白さです。西岸〜北岸のドライブや散策の途中で、「次はどんな作品に出会えるかな」と探しながら進むと、湖畔の時間がぐっと豊かになります。入園無料で、湖を一周するドライブと自然に組み合わせられるのも魅力。湖の展望スポットをめぐりたい方は洞爺湖 展望スポットガイドもご参考にどうぞ。

西岸・北岸の回り方|半日モデルコース

温泉街の宿を拠点に、西岸〜北岸をどう巡るか。無理のない半日コースをご提案します。彫刻公園の作品は道中ずっと点在しているので、移動そのものがアート散歩になります。

湖をぐるりと一周しながら南岸の温泉街へ戻れば、道中でぐるっと彫刻公園の作品にもたくさん出会えます。北岸まで足を延ばした日は、湖畔の道の駅とうや湖(北側・国道230号沿い)に立ち寄って、洞爺湖と羊蹄山の両方を望むのもおすすめ。夕食の食材を道中で調達しておけば、宿に戻ってそのまま自炊が楽しめます。冬期はキャンプ場や芸術館が休業・休館となるほか、路面が凍結・積雪することがあるため、スタッドレスタイヤと時間の余裕をもってお出かけください。

静かな湖と向き合う拠点は、キッチン付きの貸切宿で

西岸・北岸めぐりの楽しさは、直売所で買った洞爺野菜や地元ワインを、その日のうちに味わえること。だからこそ拠点は、キッチン完備の一棟・一室貸切の宿が便利です。かものやの宿はすべて貸切タイプなので、他のお客様に気兼ねなく、静かな湖の時間の余韻を部屋でゆっくり楽しめます。温泉街の中心にありながら、西岸・北岸のどの方向へも動きやすい立地です。

そのほかの施設は施設一覧からご覧いただけます。湖上から西岸の景色を眺めたい方は洞爺湖 中島観光船ガイドもあわせてどうぞ。

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よくある質問

Q. 西岸・北岸へは車がないと行けませんか?

月浦や洞爺町地区のスポットは湖畔に点在しているため、車での移動が基本となります。レンタカーやマイカーがあれば、温泉街から湖を半周する感覚で気軽に巡れます。公共交通で洞爺湖を訪れる方は、まず湖畔の見どころが集まる温泉街エリアを中心に楽しむのがおすすめです。

Q. 洞爺湖芸術館やキャンプ場は冬でも利用できますか?

いずれも季節営業です。洞爺湖芸術館は例年4月1日〜11月30日の開館で、12月〜3月は休館。月浦のオートキャンプ場もおおむね4月下旬〜10月下旬ごろの開設で、冬期は休業します。冬に西岸を訪れる場合は、浮見堂公園やぐるっと彫刻公園など屋外スポットの雪景色を、路面状況に注意しながら楽しむ形になります。最新の営業状況は各施設の公式サイトでご確認ください。

Q. 月浦ワインはどこで買えますか?

月浦ワインは自社農園のブドウのみで造られ、生産量が限られるため通年での安定した販売が難しいワインです。時期によって入荷状況が変わるため、直営店での購入可否や営業時間は月浦ワインの公式サイトでご確認ください。温泉街や周辺の酒販店で扱っている場合もあります。丘のブドウ畑越しに望む洞爺湖の眺めは、購入の可否にかかわらず一見の価値があります。

Q. 半日でも西岸・北岸を楽しめますか?

はい。温泉街を起点に、月浦の丘 → とうや水の駅 → 洞爺湖芸術館 → 浮見堂公園と巡り、湖を一周して戻るコースなら半日ほどで回れます。道中はずっと「とうや湖ぐるっと彫刻公園」の作品が点在しているので、移動そのものがアート散歩になります。時間に余裕があれば直売所での買い出しや湖畔の休憩を挟んで、1日かけてのんびり過ごすのもおすすめです。